事例3 事業承継支援信託
後継者は、未だ未熟なので育成しながら円滑な事業承継をおこないたい場合について解説します。
Aは75歳、妻Bは、68歳です。Aさんは、株式会社Z社の創業経営者です。最近、心筋梗塞で倒れ、幸いバイパス手術が成功し健康を取り戻したが何があるか分からないので長男C(45歳)に暫時事業を承継したいと考えています。しかし、長男Cさんの経営の能力を全面的に信頼していません。
Aさんの財産は、自宅不動産、預貯金、Z社株式がありますます。
家族信託を利用して解決へ
創業者父A(委託者)は、長男妻F(受託者)との間で、当初受益者は創業者父Aとし、信託財産は、Aさん所有のZ社株式とした信託契約を締結します。
信託契約書に議決権の行使は、創業者父Aの判断能力がある間は創業者父Aの指図に従い
受託者長男妻Fが行使する。創業者父Aの判断能力が失われた以降は、太郎の指図に従い受託者長男妻Fが行使する信託契約書を結ぶ。
Aさんが亡くなったときは、信託は終了し、信託財産であるZ社株式は長男Cに帰属させる。
次男Dさん、長女Eさんについては、別途遺言書を作成し、Z社株式以外の金融資産を相続させることで、相続人間の均衡をはかることにします。
家族信託の効果
信託契約をすることにより、会社経営が停止することなく、Aさんが死亡したあともスムーズに株式が長男Cに移転します。
また、受益者連続型信託を活用すれば、次の次の後継者に至るまで指名しておくことが可能となります。
*Fさんが契約通り財産管理等することを監督し、またアドバイスする信託監督人として、専門家を置くことを勧めます。